ねぇ、聞いて。
私は自分がしたことに恥ずかしく思いドンドン赤くなる顔を見られないように
カバンで顔を隠した。
キーンコーンカーンコーン
その時丁度チャイムが鳴ったので
私は急いで階段を降りた。
「五十嵐 太陽!!!!!」
上を見てそう叫ぶと
男の顔がピョコっと出てきた。
「また、ここに来てもいい?」
と大声で聞くと
「好きにすれば?」
とぶっきらぼうな言葉が返ってきた。
それだけで満足だった。
私は鼻歌を口ずさみながら屋上を出た。
『今日の私の運最悪だな。』
前言撤回。
寝坊したのも
電車とバス逃したのも
信号に引っかかったのも
あんな笑顔とか見ちゃったら…
『今日の私、最高についてる!!』
そう心の中で叫んでジャンプしながら階段を降りた。