ワケあり男子



霜山さんは、女装をしているのだ。


私は『女装男子』と呼んでいる。



ただ霜山さんは歴とした"男"。恋愛対象は女性。つまりオネェではないらしい。



しかもその女装姿がキレイすぎるのだ。
だから男子からモテる。なぜか女子からもモテる。




女装男子に私は人より倍の耐性がついていると胸を張って言える。

だってここの卒業生の私の兄が百合男子なんだから。




「あの......」



霜山さんの声で我に返ると、目の前の霜山さんの目にはうっすらと涙がたまっていた。




「え、ちょちょちょっと、」



「あ、ごめんなさい......」



そう言ってしっかりと手入れされた指で目をこする。




「ど、どうして泣いてるんですか?」



私なにかしたかな?
.........考えても分からない。




「栞乃......好きだ」



突然、呟くように言われた名前と感情。




「あっごめんなさい!わ、忘れてくださいっ!」



理解ができずに目を白黒させていると逃げるように去っていく霜山さん。



なに告白?
なんで急に名前を?好きってなに?
告白なのか?
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