足音
夢か現実か。
 これは昔の話だが、せっかく思い出したのでこうして、本に書き起こそうと思う。
忘れてはいけない、四人の若者の話だ。


 数年前のこと。
 ある日の昼間、心霊スポットとして有名なトンネルに来ていた私は、一つの[ビデオカメラ]と[手帳]を拾った。

 そのトンネルの夜は昼間とは別世界のように、暗く重い空気に変わりることで心霊スポットとして有名だと聞く。


 その日の夜。家に帰った私は興味本位で、テレビとビデオカメラを繋ぎ、意気揚々と再生のボタンを押す。

 手帳を開くと、所々濡れているせいで文字が滲んでいるところはあるものの、読めなくはなかった。

 薄暗い部屋の中で、私は机の上に置いたコーヒーを一口だけ口に含むと、黒いボールペンで書かれたその濁った文字に、目を落とした……。


 あれから数年たった今でも思う。


 あれが、ただのメモ書きならばどんなに良かったことだろうか……。

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