足音
 ビデオカメラ

《ガサッ、ガサッ、ガサガサガサ

 画面に映し出された映像はただ暗闇を映しているだけだ。
 激しい音の中、1人の男の声が聞こえる。

「おい、なに遊んでるんだよヒロト!」

 ガサガサガサッ、ガサガサッ

「ごめん、エイジ。なんかカメラが袋に引っかかっているみたいで! あ、とれた!」

 不意に画面が明るくなり、なんの変哲もないありふれた黄色いスニーカーが映し出される。

 それは車の助手席の後ろ、後部座席から撮られた映像のようだった。
 運転席に座る男の顔がアップで写される。

「エイジ、ほらこっち見てよ!」

 カメラを持った人物は先ほどヒロトと呼ばれた男で、まさに車を運転している人物がエイジと呼ばれた男のようだ。
 エイジはため息混じりに文句を垂らした。

「ふざけんな、運転中だ」

 カメラはガタガタと揺れ、カメラ越しにでも不安定な土地を走っているのがわかる。》

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