白黒のぬくもり
精神科医の言葉
「猫を飼ったらいいよ」通院して3年目、馴染みの医師がそう言った。

私は真剣に悩みを訴えているというのに、その言葉は私をおちょくっているようにしか聞こえなかった。

「先生、あたし本気で言ってるんだけど、もうマジで死にたいの!」
その言葉が届いているのか医師は机の上の観葉植物に水をやり、笑いながら
「うん、だから猫飼うといい。猫はいいよー?寂しい時は側に来てくれるし、一緒に寝てくれるし」
はぁ、と大きなため息がでた。

駄目だ、これは。
全く理解されてない。
大体精神科医がなんでそんな事言うんだ…
これも何とか療法ってわけ?

「もぉいいよ、猫ね、猫。薬ちょうだい、もう帰る」病院まで一時間半もかかるっていうのに、せっかく来てこれだ…

医師はカルテに処方薬を書いてる。
毎度思うけど汚ない字。
なんて書いてあるのかさっぱりわからない。

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