白黒のぬくもり
何の書類だ?訝しく見ているとオバサンが話かけてきた。

「えーっと、このお部屋でお一人でお飼いになるんですか?ペット大丈夫なんでしょうか?」
え!!そうか、まずいのか!

私はない頭をひねって、ぎこちない笑顔で
「あ!段ボールありますでしょ?来月実家に帰るんです!だから実家で飼うことになりますね、一軒家なんで大丈夫ですよ」
うまいこと言った!
今更ダメです、この子は連れて帰ります!とは言われたくなかった。

「そうですか、じゃあ大丈夫ですね」とオバサンは書類に記入するように言ってきた。
内容は私の住所、氏名、連絡先、他動物の有無、それから去勢手術を受けさせること、というもの。

さらーっと書いて判子をポンと押した。

猫の飼い方等を大まかに教えてもらい、最後にワクチンの証明書と引き換えに3千円渡した。

要した時間約40分、オバサンは帰っていった。

玄関に施錠すると急いでアルトのもとへ駆け寄る。

アルトはまだ警戒しているのかケージをあけても全く出てこようとしない。

「おーい、アルトー、お前は今日からお姉ちゃんちの子になったんだよー?」
ケージの中に手を突っ込むとどんどん奥のほうへ行ってしまう…
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