白黒のぬくもり
何事もありませんように…あまり人が乗ってきませんように…
早く着きますように…

ただただそればかりを祈って一時間半をやり過ごす。


地元に着いたのはやっぱり7時になろうとしていた。
雨脚は強くなっている
「傘ないやぁ…」
駅から家まで歩いて8分
早足だったら6分くらいで行けるだろうか
狭い玄関にビニール傘が何本もあるのを思って傘を買うのを躊躇う。
別にもう家に帰るだけだし、9月だし寒くはないし
「いいや、傘いらないや」たまには濡れて帰るのも悪くないんじゃない?

はた目からはけっこう痛い感じの人に見えるけど。

コンビニに寄ってコーヒーとスポーツドリンクを買った。
そのまま急いで家まで歩く。
まだ7時だっていうのに暗くて静まりかえった住宅街、所謂ベッドタウン的な土地だから駅ではかなりな人が降りるけれど、何故か前にも後ろにも人はいない。
この左右所狭しと並ぶ家々には本当に人が住んでいるんだろうか?
あまりの静けさに妙な不安がかきたてられる。

昼間にはスーパーやら通りやら沢山の人がいるのだ、人が住んでいないわけないじゃないか。

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