白黒のぬくもり
まさか…尚史じゃないでしょうね?
ゆっくりと男へ近づく、間違いない、尚史だ…
こいつこんなところで潰れてるわけ?!車なのに!
「尚史!尚史!」肩を揺すると、なんとも腑抜けた顔をあげた。
「あんた何こんなとこで潰れてんのよ!車で来てるんでしょうが!」
私の言っていることがわからないのか、尚史はなんとも幸せそうな顔で右手を挙げた。
その時私は目を疑った。
尚史の手首から肘のあたりまで何十個というゴムバンドがはめられていた。
あっきれた…
こいつこのあとのこと何も考えてない!
こんなんじゃ車なんて運転できないじゃない。
私は免許証持ってないし…
どうすんのよー!!
「尚史の馬鹿野郎!」バシバシと尚史の頭をひっぱだく。
それにたいしても無反応。はぁ。馬鹿野郎。
シャンディガフをやけ飲みして、タバコをふかした。そこにテキーラガールが通りかかったので、私も一杯貰う。腕にはゴムバンドがはめられた。
一気に絶望的になった私の耳に届いたのは
『ではこれからテキーラコンテストを始めます!自信ある奴はステージ上がってこーい!!』そうだ、そんなんがあるんだった!
何にせよこのままじゃ引き下がれない!