白黒のぬくもり
あまりの早さにも驚いたけれど今はそれどころじゃない。
早く要件を伝えなきゃ!

「あの、誠二君ですか?私尚史の友達なんですけど、今日BBであったダンスで尚史潰れてちゃって、誠二君に迎えにきて欲しいって尚史が言ってるんですけど…なんとかなりませんか?」必死な私をよそに電話口の誠二君は、なんともダルそうに大きな欠伸をして、そのあとジッポで火をつけてタバコを吸いはじめた。

こんな奴で大丈夫??
「あーいーよ、暇だったし、近いし、BBね、5分くらいでいくから正面にいてね。」
「よかったぁ!助かります!じゃあ待ってますね!」電話を切ってからベンチに座ったまま動かない尚史をちょっと放置して、私は自販機に紅茶を買いに行った。

尚史に変化なし。
大丈夫なんだろうか。

紅茶の缶を開けてタバコを吸っていると、一台の年代もののインパラが私達の前に止まった。

車の主は誠二君だった。
相変わらずイカツイ感じの人。
目があったので軽く会釈をすると、私の隣に座っていた尚史を担ぎ上げて後部座席に押し込んだ。

私に手つきで助手席に乗るよう指示する。
ゆっくりと車が走りだす。「尚史どこに車いれたの?」
「BBから歩いて5分くらいのところだったかなぁ」一瞬重い空気がながれる。

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