白黒のぬくもり
膝の上のアルトをそっとどかし、ユニットバスへ行く。
そのあとをアルトがついてくる。
私はユニットバスの扉を少し開けて、シャワーカーテンも半分くらい開け、バスタブに入りシャワーの蛇口をひねった。

熱いシャワーが気持ちいい、バッチリメイクを洗顔フォームで念入りに落とす。ふとカーテンの脇からトイレ側に目を落とすとアルトが私を見上げていた。

「んん?こんなところまで入ってきたの?」しゃがんでアルトの鼻先に顔を近付けると、バスタブに手を伸ばしてきた。

「そんなとこにいたら濡れちゃうよ?外で待ってな?」それでもなおバスタブに近寄り、バスタブの中を覗き込んでフンフンと鼻を鳴らしている。

なんだかちょっとした悪戯心が私の中で芽生えて、カーテンからぐいっと体を仰け反らし少し開けていたユニットバスの扉をパタンと閉めた。
まだアルトはこれから自分の身に起こることを察知していないようだった。

そいやっ!とアルトを抱っこしてシャワーのお湯が降り注ぐバスタブへと入れた。

すっごく驚いた様子でじたばたするアルトを押さえて、ピンクの首輪を手早く外してトイレの上へ投げる。
完全にビビったアルト。

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