白黒のぬくもり

アルトはママの言う事だけは聞く。私やばあちゃんがいくら叱っても全く言う事を聞かないのに、だ。

人間にとって怖い人間というのは猫にとっても怖いのか、単純に私がアルトになめられているのか、真意はわからないけれども。



その後も私は毎日、ばあちゃんとTV見たり話しをしながらゴロゴロ、アルトはお外へ遊びに行くという生活が続いた。

今日も昼過ぎに起きていつものようにしていると、ママが掃除機をかけながら私のところへやって来て
「いつまで仕事もしないでそうやってる気なの?バイトくらいしたらどうなの」寝転んでいる私をどかすかのように私の周りに掃除機をかける。

思えば実家に来て1ヶ月以上も経つ。
もう長袖を着る季節になっていた。

バイトかぁ…
全く考えてもいなかった。いくら出費が少ないとはいえ100万なんてたかがしれている。

持ち金が尽きるのも時間の問題だ。
バイト……

仕事らしい仕事はもう何年もしていない。それに今までバイトは3ヶ月ともたなかった。
そんな私が今更バイトなんてできるんだろうか?

精神状態も決して良好とは言えない。
かといってこのままではマズイというのも重々わかっている。

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