白黒のぬくもり
第一条件は通勤時間。
次に業務内容。

スーパーのレジ係に小中学生の学習塾講師、どちらもイマイチ。
バイトをする上で一番のネックが髪型とピアスだった。

髪型もピアスも私にはポリシーがある。一般的に特殊ヘアと呼ばれる髪型は変えたくない。
ただの茶髪や黒髪なんて絶対に嫌だ。たまに気紛れで普通の髪型にしても1ヶ月ともたない。

ピアスに至っては両耳、鼻、口、舌、首、臍、全部で30ヶ所あまり付けている。鼻や口、臍は取り外す事も可能だが一番目立つ両耳は自分で取り外すことはできない。

「駄目そうだよなぁ…」
3冊目をめくる。

レンタルビデオ店、バイト募集…18才〜30才位迄。
店名と住所を見れば家からすぐ近くの、私も何度か行った事のある店だった。
「ふーん…よさそうじゃん」確かここの店員は皆若くて、金髪のお兄ちゃんや派手なネイルアートをしたお姉ちゃんもいた。

「いけるんじゃない??」金髪がよくて私が駄目っていうことはないだろう。
その募集記事をボールペンで囲うと早速電話をしてみることにする。

バイトの電話なんてするのも久しぶりの事だったので少し緊張した。

店長らしき男の人が出て、バイト募集の旨を伝える。
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