白黒のぬくもり
別々の生活
あれからバイトの面接に行き、見事受かった私は週3、4日ほど夕方から12時まで働くことになった。
実家から歩いて7分、仕事も思っていた通り仕事内容も楽だ。
時給はいいとは言えないけれど。
しかし人見知りをするというか、単に人との関わりが極端に少ない生活を送ってきたためか、他のスタッフと接するのはすごく疲れる。
客に対してはマニュアル通りの受け答えをすればいいだけなので案外楽だ。
大抵はレジにいて、返却されたDVDがある程度溜まるとケースに戻しに行く。
閉店後レジ閉めをして簡単に掃除。
やることは通常これだけだ。
メリットとしてはバイトは店内のDVDが半額になること、新作が先に見れること。
家にいてもすることもないので(だからといってバイトを増やす気もない)帰る時に3本か4本レンタルして帰るのが常となった。
家に帰ると実家でもアルトが出迎えてくれた。
部屋の扉を開けると必ず起き上がってきて
「アルトただいまぁ」と言うと
「ニャァ」と鳴く。
いつからかアルトは返事をするようになっていた。
「アルト」
「ニャァ」
それが楽しくて何度か繰り返すと、アルトも飽きてしまうのか無意味だと思うのか、名前を呼んでも声を出さずに「ニャァ」の口をするだけになる。