[短]好きなのに
「……え?マジ、で?」
薫は驚いた顔をして聞き直した。
あたしはまじまじと見つめられて恥ずかしくなり、
俯いて小さくコクンと首を縦に動かした。
「ま、じ?
やっべーっ!
俺すっげー嬉しい!
つか、ハズイ!」
チラッと薫を見ると
真っ赤になった顔を隠すかのように手を口に宛てていた。
こんなに愛おしく思ったことはない。
あたし、薫が好きだ。
あらためて実感する気持ち。
「あたし、ずっと薫が好きで、でも薫ははるかが好きなんだって思ってたの…。」
「その…ごめんな…?
俺、余計なことしなきゃよかったよな…。」
ショボンと俯いた薫を見て、そんな薫も可愛いと思ってしまった。