[短]好きなのに
「……っ」
あたしの瞳から涙が溢れた。
我慢してた涙。
悔しかった涙。
悲しかった涙。
好きなのに、言えない、
もどかしい涙。
貯まってたものが溢れ出した。
ツーッと頬に涙が垂れる。
涙なんか見せたくない。
なのに…。
「薫なんか、嫌い」
あたしはそう言い残し、その場をあとにした。
そしてあたしの向かった場所は屋上。
1学期のころはよく薫とサボったっけ…。
なんだか懐かしい。
今のあたしには似合わない、気持ちいい風が吹く。