[短]好きなのに


「……っ」





あたしの瞳から涙が溢れた。


我慢してた涙。

悔しかった涙。

悲しかった涙。


好きなのに、言えない、
もどかしい涙。





貯まってたものが溢れ出した。






ツーッと頬に涙が垂れる。





涙なんか見せたくない。

なのに…。











「薫なんか、嫌い」










あたしはそう言い残し、その場をあとにした。


そしてあたしの向かった場所は屋上。



1学期のころはよく薫とサボったっけ…。


なんだか懐かしい。







今のあたしには似合わない、気持ちいい風が吹く。
< 9 / 15 >

この作品をシェア

pagetop