Secret Mission
序章
一つの依頼
「今回は…どういったご用件でしょうか。」
DarkCatというバーにある部屋の中で、一人の少年と40代近くの男が向かい合って座っていた。
「依頼だ。…君には近くにある広葉高校に通って、あることを調べてきて欲しいんだ。」
「なるほど…ですが、高校に潜入しろというからには…。」
「わかっている。…50万出す、だから頼む。」
そう言って男性が机の上に分厚い封筒を置く。それを少年が手に取り、中身を確認する。
「……いいでしょう。で、あることというのは?」
「それは…―――だ。」
「わかりました。…あ、もう一つ用意して貰いたいものがあるのですが…構いませんか?」
「なんだ?」
「部屋、ですよ。広葉高校近くの部屋。安いもので構いませんから。」
「…問題ない、もう用意してある。」
「流石、お早いですね…って、断られたらどうするつもりだったんですか。」
少年はクスクスと笑いながら言う。
「その時はその時だ。」
「そうですか。…まぁ、これはお返ししておきますよ。成功時に渡してくだされば結構ですので。」
少年は先程渡された封筒を男性に手渡す。男性はそれを受け取りながら頷く。
「わかった。詳しいことは部屋にあるファイルを見ておいてくれ。これがその鍵だ。」
男性は胸ポケットから305とかかれた紙が貼ってある鍵を少年に渡す。
「ありがとうございます。」
「じゃあ、健闘を祈る。」
男性は扉から出る際、こう一言呟き出ていった。
男性がいなくなった部屋には先程の少年がポツンと残されていた。