Secret Mission
「健闘を祈る…か。」
本当は思ってないくせに。
少年はそう言おうとしたがどうにか飲み込み、身支度を始める。
彼が用意してくれた部屋に向かう準備だ。
身支度と言っても、この部屋には最低限の物しかおいてない。
少し大きいカバン1つ分くらいだ。
全部しまい終わった少年は部屋から出て、マスターに話しかける。
「マスター、依頼来たんで行ってきますね。」
「ああ、気をつけて行っておいで。
…長くなりそうなのかい?」
マスターは彼の手に握られているものを見ながら言う。
「はい。…でも、たまには顔出しますよ。その間は、全部断っておいて下さい。」
「ん、わかったよ。困ったことがあれば言ってくれ。
私にだって力になれることがあるかもしれないからね。」
「はい、わかりました。」
マスターの紳士的な対応に彼は少し口元を緩ませながら
「行ってきます。」
そう言って、バーから出た。