Secret Mission
渡辺たちがトイレで無駄話をしていると、渡辺にとって見知った――と言っても、そこまで日数は経ってないが――少年が入ってきた。
「…あ?水樹じゃーん!」
渡辺が声を掛けると、水樹はビクッと肩を震わせ、渡辺の方を向いた。
「っ…渡辺…さん、どうしたんですか?」
「どうしたって、クラスメイトがいたから声をかけただけだけど?他に何かあるとでも思った?」
「…いえ、無いですけど。ぼ、僕はトイレに来ただけなので…では。」
―――そういう意味じゃなくて、どうしてトイレにたむろしているのか遠回しで聞いたんだけど…。
水樹はそんな事を考えながら、個室へ入る。
水樹が個室に入ったことを確認してから、渡辺たちは小声で話し始めた。
「なんで、あいつ個室入ったんだろうね。」
「知らねぇよ。俺水樹じゃねぇし。」
「あ、俺にいい案あんだけどさぁ、実行しねえ?」
「なんだ?祐一。」
「水、かけてやろうぜ。この前掃除用具入れ覗いたら、ホース入ってたからそれでさ。」
「…なんでホースあるんだよ。」
「さあ?しらねー。」
「……まぁ、そんな事どうでもいいよ、些細なことだし。」
「そうだな、で、やるか?」
「ああ、乗ってやるよ。」
「俺はパス。」
そう言いながら、黒髪の男子は窓辺に寄った。
「俺さんせーい!」
一人がでかい声を出しながら、掃除用具入れを開ける。
「ほんとにある。うーん…変な学校だよなー、ここ。」
「ああ、見た目綺麗なのに、掃除用具入れだけボロい木で出来てるし。」
「そうだ、この掃除用具入れ動くし、これで塞いでおこう。」
「いいな、それ。」
掃除用具入れを開けてた男はホースを取り出し、水樹の入っている個室の前に掃除用具入れを移動させる。
「っはぁ…思ったより重いわこれ。」
「当たり前だろ、んなこと。木だぞ?」
「それに、中身結構入ってるしなぁ。」