Secret Mission

繁華街の夜




バーから出た彼…熊野 瑞稀はパーカーについた深めのフードを被る。

別に見られて困るわけでもない。彼はただ、フードが好きなのだ。


歩く、曲がるを繰り返していると、眩しいほどに輝いた繁華街に出た。

あまりの眩しさに目を細めてながら歩いているとドンッと人にぶつかってしまった。


「あ、すみません。」


ぶつかってしまった人に謝りながら顔を上げると、目の前にはいかにも不良そうな男性が居た。どうやら、この人にぶつかってしまったらしい。

意外と不良は身長が高かったためか、彼が影になり、顔をあげても眩しく思うことはなかった。


「ああ?んだよ、てめぇぶつかっておいて何様だ?ゴラァ。」


漫画やアニメに出てきそうなチンピラだな…。

と、瑞稀はそう思った。


「謝ったじゃないですか…。それに立ち止まってたのはあな」
「ゴチャゴチャうっせえとしばくぞゴラァ!」


瑞稀の言葉を遮り不良は叫ぶ。


「…はぁ。」

「あ、ぶつかって来たんだから金払えよ。」


ふと、不良は思い出したかのように言う。どうやら、この不良はぶつかってきた相手から金を巻き上げるようだ。


「意味わからないんですが…。」

「いいからだせっつってんだろ!」
「嫌です。」

「…あ?」

「いや、だから嫌です。俺、そんなにお金持ってませんし、それに急いでいるので。」


そう、早口で捲し立て、瑞稀は逃げようと走る。





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