Secret Mission
昔。と言ってもそれは小学校の頃であり、中学の頃、瑞稀が転校してしまってからは連絡すら取り合ってなかったのだが。
「……よく、覚えてたな。」
さらっと、小学校の頃のように敬語を抜いて話してしまうのは彼が昔と変わらないからなのだろう。
「まぁな、つーか、なんでお前男のかっ」
「うわあっ!そ、その話はまた後ですっから!今は黙っててくれ!」
瑞稀は正真正銘女だが、流石に小学校の頃は男装なんてしてなかったわけで。
瑞稀にとって男のほうが仕事がしやすかったから男装し始めたのだがそれだって中学卒業してからの話でありそれまでは中性の顔立ちながら女子の制服を着てたのだ。
「え、何、二人ってやっぱり知り合いな訳?」
と、少し困惑しながら聞いてくる春のやっぱりは、悠斗の目線やら何やらで思い立ったのだろう。
「…ああ、小学校の頃の友人。」
「…………まあ、ただの腐れ縁ですけど。」
「なんで敬語なんだよ。お前、そんなキャラじゃねぇだろ。」
たくさんの客と話すにはやはり敬語が一番なわけでそれに慣れてしまった瑞稀にとって、親しい人と話す時以外は敬語が楽になってしまったのだ。
「…まぁ、こいつらなら、いい、かな。」
ぼそっと呟くそれは、敬語を外してもいいかなという意味である。
「…バイトやってっから、敬語に慣れてきちまってな。それに色々楽だし。」
「ふーん、まぁいい。積もる話はまた後でってことで。」
「………授業中だしな。」