Secret Mission
だが、不良には仲間がいたようで、もう周りは囲まれてしまっていた。
「逃げられるとでも思ってんのか?」
「…あはは…あんまり騒ぎは起こしたくないんだけどな。」
「早く出せよ。出さねえと…力尽くで行くぞオラァ!」
不良がそう叫ぶと、回りを取り囲んでいる不良たちがジリジリと近付いてくる。
「はぁ…わかりました。仕方ないですね。」
その姿に観念したのか、瑞稀はポケットから財布を取り出す。
「やっとか。ほら、寄越せよ。」
不良が手を出すも、瑞稀は不良の上に財布を置く気配を見せない。
「んだよ、早く渡せよ!」
瑞稀は目を伏せ、手に持っているカバンを落とす。
何がしたいのか…不良たちが疑問に思っていると、瑞稀は財布を宙に投げた。
その財布は1m、2mと、高く飛んでいく。
「渡しますよ?…ただし、とれたらの話ですが。」
ニヤッと口元を緩ませ、しゃがむ。そして、ポカーンとしている目の前の不良の足を、相手が転ぶように絡ませる。
「どわっ!?」
変な叫びと共に不良は転ぶ。その姿に満足した瑞稀は、立ち上がり調度良く落ちてきた財布をキャッチする。
「さて、始めましょうか。」
その一言により、不良達は一気にかけ出した。