Secret Mission
瑞稀はそれを見つけた途端、ニヤリと口元を緩ませた。
そして、音を立てずに相手に近付く。
人と話しているが構わない。
瑞稀の存在に気付いた人にシーッと口に人差し指を当て、静かにしてほしいという合図を送る。
彼は目で頷き、その人物と話し始めた。
―――ッタン…。
瑞稀は後ろに行き、わざと音を立てる。
そして相手がそれに気付き振り向いた途端、顔に向かって拳を振り上げた。
「っ!?」
相手は条件反射か、受け止めるために手を上げつつも顔を横にずらして躱す。
そして、瑞稀の手に茶髪があたったと同時に瑞稀と彼の手が当たった。
「良いご挨拶じゃねぇか、瑞稀。」
「試しただけだっての、そう殺気立つな。」
そのまま瑞稀の手を握り潰そうとする彼に笑いながら声をかける。
男は舌打ちをしつつも手を離す。
「やり返されてんのわかってんならやんなよ。」
「ごもっとも。ごめんごめん。」
「何するのかと思ったらいきなり殴るとはね…」
そう言ってるのは、色素の薄い髪を持った優しげな青年だ。