Secret Mission




そして次の日、瑞稀は"水樹"の格好でいつもより遅めに学校に来た。


確実に遅刻している。

だが、驚かすにはこれぐらい遅れていかなければ無理だろうと考えたのだ。

あの二人はああやって夜中まで外に居るくせに学校に行く時はやけに早い。

まぁ、学校に行かなければ意味は無いが。


「す、すみません!遅れました!」

「はぁ!?」


水樹がそう言いながら扉を勢い良く開けると、驚きの声を上げたのは辰巳だ。

もうHRが始まっていたため先生が水樹と辰巳を注意する。

水樹は笑いそうになる口をおさえ、俯きながら席に座る。

すると、ポケットに入っている携帯に通知が入る。と言っても…マナーモードにしているためバイブ音だけだが。

先生にバレないように開くとSNSのアイコンの横に宗平と書かれていた。


『え、なになにその格好。もう爆笑しそうなんだけど」

『驚いただろ?仕事で来ることになった』


そのチャットに割り込みで辰巳が入ってくる。


『驚いただろ?じゃねぇよ!久しぶりに来たせいで目立ってんのに余計に目立っちまっただろうが』

『え、それは辰巳の不注意でしょ、俺だって我慢出来たんだから』


横から見ると列の三人全員が携帯をやっているという謎な光景だろう。

SNSと言っても、これはIDを交換している人同士しか会話が出来ない為、名前などをあげてもそこまで問題はないのだ。

割り込みと言うのは、話してる人が了承した相手なら会話に入って来てもいいよという機能だ。


『っ…てか、瑞稀がオドオドしてる、やばい、笑えてくる』


そう言いながら、宗平は肩を震わせて、先生に心配されてる。
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