Secret Mission
「足痛え…あいつ、体重掛け過ぎだろ…。」
「良かったのか?…今決着つけなくて。」
瑞稀に踏まれた部分を擦っている男のもとに駆け寄りながら、一人の男が問いかける。
「いいんだよ。…今の俺じゃ、勝てねぇと思うしな。」
「勝てない…?」
座り込んだ男を立たせながら問いかける。
「あいつ、最低限の動きしかしてなかった。結構経験積んでるぞ。…もしかしたら柔道とか習ってんのかもな。」
「……てか、なんで金出せとか言ったんだよ。馬鹿だろ。」
「うっせ、見ない顔だから試したかったんだよ。」
「だから、あの口調?馬鹿だろ。」
「馬鹿じゃねぇよ!お前、俺より頭悪いのに調子のんじゃねぇよ!」
「いや、あれは馬鹿だった。チンピラって言ったってあんな口調のやつ居ねぇだよアホ。」
「〜〜っああ!もういい、帰るぞ!」
「はいはい。」
午前0時頃…繁華街の夜は長いというのに、彼らは帰っていった。
とても、楽しそうな笑い声を響かせながら。