光の少女Ⅳ【神魔界編】
「止まれ」
森の中に入り、暫く歩いていた時、不意に総長の声がして、前を歩いていた神蘭達が木々の間に隠れ、気配を消す。
一体何があったのかと同じように出来るだけ気配を消して、様子を窺う。
「!!」
すると、前方に紫狼達の姿が見えた。
一緒にはいないのか風夜達の姿はなかったが、その代わりに黒姫達の姿が見えて、思わず目を見開く。
「うわっ!最悪っ!」
神族達の視線がきつくなるのを見て、琴音が呟く。
そんな間にも神蘭達は木の間から姿を現し、解放された気配に気付いたのか紫狼達が振り返る。
その先では、黒姫が面白そうな笑みを浮かべていた。
「これって、一番最悪なパターンじゃないのか」
近づいていく神蘭達を見て、紫影がボソリと呟く。
「時間をおいた方がいいって話をしたばかりだったのにな」
影牙が言って、苦笑する。
「どうするの?」
紫姫に聞かれ、花音は溜め息をついた。
(こうなったら、一番最悪な状況になるのだけは、避けないとね)
そう心の中で呟くと、花音はゆっくりと足を踏み出し、既に睨み合いの状態になっている場所へと近付いていった。