光の少女Ⅳ【神魔界編】
「このっ!」
黒姫に向かって矢を放つが、それは彼女の前に割って入った蔓に当たって、彼女までは届かない。
『いってぇな』
「えっ?」
それを見て、次の矢を放とうとしていた花音は、聞こえてきた声に辺りを見回す。
聞き覚えのない声ではあったが、自分の知っている者達の姿しかなく、声の主は見当たらない。
「花音!」
その時、聖羅が此方へ駆けてこようとするのが見えた。
だが、それより前に凍矢達と同じように縛られてしまう。
そして、それだけでなく強い力で引っ張りあげられ、一本の木へと完全に縛り付けられたかと思うと、再び声がした。
『痛いじゃないか。嬢ちゃん』
「ひっ・・・」
声がした方を見て、木に顔があるのに気付き、思わず声を上げる。
「ふふ、あはははっ」
すると、それを見ていた黒姫がわらいだした。
「そうか!この森は・・・」
「当たり。この森は、森全体で一つの魔物なのよ。つまり、貴方達はその魔物の体内にいるのと同じってことよ」
何か思い当たったらしい紫狼の声に、黒姫はそう返した。