光の少女Ⅳ【神魔界編】
「・・・」
身動きのとれない状態のまま、近くでの二つの攻防を見守りながら、花音は必死で頭を働かせていた。
今は問題なさそうだが、今の状況では光輝以外の者がいつ人質になるかわからないのだ。
ただ一人自由の身である光輝は、紫狼に話し掛けて説得しているようだったが、紫狼には助ける気はないようだった。
(早く何とかしないと!)
そう思った時、黒姫がチラリと此方を見た。
と思うと、急に強い力で何処かへ引っ張られる。
(えっ・・・?)
その時、思わず瞑ってしまった目を次に開いた時には、目の前に細身の剣が迫ってきていた。
「くっ・・・」
息をのんだ花音の直前で、剣の持ち主だった聖羅が咄嗟に軌道を逸らす。
だが、それが隙をつくることになってしまい、聖羅は黒姫の放った魔力を受けてしまった。
「うああああっ!」
「聖羅様!」
それに気付いた神蘭が此方へ来ようとするが、やはり闇王に邪魔されてしまう。
その間にも攻撃を受けた聖羅は黒い球体の中に閉じ込められ、それを見て、黒姫はクスッと笑った。
「ふふ、これで目的の一つは果たせた」
そう言い、異空間のようなものを開いたかと思うと、そこに聖羅を閉じ込めた球体が吸い込まれていく。
それを花音は呆然と見ていたが、聞こえてきた爆音に視線を向けた。