光の少女Ⅳ【神魔界編】
「一体、何処へ行ったの?」
二人の少年を見失ってから、数分。見付からないことに苛立ったように聖羅が呟く。
「なあ」
「何?」
「今の状況を考えれば、お前が警戒するのもわかるけど、あんな小さい奴も見逃せないのか?」
不意にそう問い掛けた光輝に聖羅は向き直る。
「ええ、そうよ。魔族は魔族。例外はないわ」
「どうして、そこまで?」
「それが神族と魔族の関係よ。・・・昔から私達神族と魔族は対立し、争い続けてきた。その関係は、これからも変わらないわ」
「そんな・・・」
聖羅の言葉に、花音はそう呟いた。
「・・・まあ、確かにお互いにそんなことを言っているようじゃ、何も変わらないだろうな」
「そうね。でも、今までの争いでどちらにも多くの犠牲が出て、それが更に互いの溝を深めているの。事実、私も過去に大切な人を失ってるわ。神蘭達もね」
皮肉っぽく言った夜天に、聖羅がそう返す。
「もし、この関係が終わるとしたら、それは・・・どちらかの種族、もしくは両方の種族が滅びた時よ」
「「「「・・・・・・」」」」
その言葉に花音達は沈黙する。
言葉を失った花音達に気付いたのか、聖羅は表情を和らげた。
「今回の戦いがどうなるかはわからないけど、結果がどうであれ、あなた達は元の世界に帰すわ。それは約束する。・・・さぁ、話はここまでにして、さっきの二人を・・・」
「うわああ!」
「「「「「!!」」」」」
聖羅の声を遮るように、少年の悲鳴が聞こえた。