光の少女Ⅳ【神魔界編】
「・・・仕方ないな」
そう呟いた風夜が目を閉じる。
かと思うと、彼の周りで風が渦を巻き、彼を拘束していた黒い触手を一気に消し飛ばす。
それだけでなく、彼の魔力が高まっていき、背に三対の翼が広がった後、開かれた目は紅くなっていた。
「・・・本当は手出しするつもりはなかったんだけどな」
その声は静かだったが、いつもより低く聞こえ、花音は内心首を傾げた。
(風夜・・・、もしかしなくても怒ってる?)
「おい、一体何するつもりなんだ?」
光輝も花音と同じ様に感じとったのか、少し顔を引きつらせながら問い掛ける。
「ん?言ってわからない奴には、・・・実力行使しかないだろ?」
言いつつ、風夜は封魔が外して投げ捨ててあった腕輪を拾い上げる。
それで気付いたらしい神蘭達も視線を向けてくる。
「・・・少し手荒になっても、構わないな」
風夜はそう言ったが、それに答えは求めてはいないようで、誰の答えも待たずにその場から姿を消した。