光の少女Ⅳ【神魔界編】
「・・・闘牙」
窮姫の声がしたかと思うと、花音の拘束が外れ、乱暴に投げられる。
「姉上!」
「「花音!」」
自由になった花音の耳に、光輝、夜天、雷牙の声が聞こえ、反射的に数歩下がると、それまで立っていた場所に巨大な鎌が突き刺さった。
「!?」
それに目を見開いていると、闘牙と呼ばれた男が構え直す。
「ふふ、助けると言っても、神子、貴女はまず私を相手にしなければならない。その間に、一人ずつ消えていくわ。まずはあの子よ」
その時、聞こえてきた窮姫の声は楽しげなものだった。
花音の身長より大きな鎌を構えて近付いて来る闘牙を見て、身体が動かない。
避けなくては、逃げなくてはと思っても、恐怖から動けない。
「やりなさい、闘牙」
「っ・・・」
風を切って迫ってくる鎌に、いけないとは思いながらも恐怖には勝てず、目を閉じる。
(助けて・・・、風夜)
中央どころか神界にすらいない彼の名前を心の中で呼ぶ。
その時、花音のすぐ近くで金属同士が激しくぶつかりあう音が聞こえた。