光の少女Ⅳ【神魔界編】
「神蘭、やっぱり魔界に行って・・・」
「それは駄目だと言われたはずですよ」
「でも・・・」
「花音、すまないが今はある薬で我慢してもらえないか?少しでも状況がよくなったら、私達が必ず薬を取ってくる。だから」
「今は我慢してろってか?」
神蘭を遮り、空夜が言う。
「・・・俺達は偉いこと言える立場ではないが、それはあんまりじゃないのか?」
「そもそも、花音がこんな状態になってるのは、そっちの過失だろ?」
「それについては、謝罪する。だが」
「俺達にとっては今は聖羅様のこと、魔界とのことが優先事項だ」
影牙と紫影に、封魔と龍牙がそう返してくる。
その言葉に、光輝達が苛立ったのが表情でわかった。
「はいはい、ストップ!そこまでよ」
悪くなった雰囲気を打ち消すように手を叩きながら、神麗が声を上げる。
「その薬の件、全く当てがないわけじゃないわよ」
「えっ?」
「本当か!?」
「ええ。・・・私達が無理なら、彼等に取ってきてもらえばいいのよ」
凍矢に答えて、神麗はフフっと笑う。
「彼等って、まさか・・・」
「ふふ、木を隠すのが森の中なら、魔族を隠すなら魔族の中よ。彼等なら、私達より簡単に魔界に入り込めるはず」
神麗の言う人物達がすぐに思い浮かんだらしい星夢に、そう付け加える。
「まぁ、それでも二~三日は掛かるでしょうから、その間は我慢してもらって、あとは・・・」
言いながら、神蘭達を見る。
「蘭ちゃん達には、少し情報操作をしてもらいましょうか。二~三日の間に最上級魔族の反応があっても、軍が動かないようにね」
そう言う神麗に、神蘭達は顔を見合わせていた。