光の少女Ⅳ【神魔界編】


「・・・ここまで来れば、いいだろう」


誰もいない場所まで来て、花音を掴まえていた夜月が手を離す。


「いいか。よく聞け」

「う、うん」

「この里の中央にある装置、それを壊すぞ」

「えっ?」

「里の人が言ってたんだ。魔族達が魔界からある装置を持ってきたって。その装置は、神族の力を奪い、魔族の力を強めることが出来ると」

「!!・・・そっか。それで」


夜月の言葉に、花音は納得する。

彼のいうとおり、力が奪われているなら、神蘭達が消耗しているのも頷ける気がした。


「よし、じゃあ行きましょう。私と夜月も協力するから」


梨亜がそう言ったのに、花音は首を横に振る。


「ううん。二人はここまででいいよ。それより、早く逃げて」

「な、何言って・・・」

「私ならその装置さえ壊せれば大丈夫。でも、二人は・・・」


力が戻った神蘭達に合流すれば、花音の身の安全は保証されるだろう。

だが、梨亜と夜月はそうはいかない。

魔族についた者達からすれば、裏切り者、それは窮姫達にとっても同様。

かと言って、幼い少年魔族すら受け入れなかった神族が二人を受け入れるとは思えなかった。
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