【完】僕と君のアイ言葉
そんなことを想像してしまい、強く目を瞑った。
目を瞑っても、耳からは田中くんと吉田先生の会話が聞こえてくる。
いっそのこと耳も塞いでしまいたい。
そう考えると私は自然と耳に手を当ててしゃがみこんでいた。
フワッ──
そんな私の手を優しく包むような感触がした。
私は静かに目を開けて見ると、目の前には私の目線に合わせてしゃがみ込んでいる宙がいた。
「どうした?」
そして優しい口調で私を心配していた。
「宙っ…」
そんな宙を見ると思わず堪えていた涙が溢れ出しそうになる。
「…行くよ!」
彼は一言そう言うと私の手を引いて教室を飛び出した。
「えっ!?」
その時、田中くんと吉田先生の隣を通った瞬間、田中くんの驚くような声が聞こえてきたのが分かった。