【完】僕と君のアイ言葉
それがどれだけ苦しいことなのか知っている今、そんなこと出来るわけがないよ。
「…ごめん宙…それは出来ない」
宙には笑っていてほしい。
私のことで辛い思いなんてさせたくない。
「はぁーやっぱりか」
そんなことは出来ないけれど…
「田中くんと、別れる…」
いつまでも心配かけるわけにもいかない。
それに、私もちゃんと現実を見なくちゃ。
逃げてばかりいられないんだ。
「そっか。それなら俺にもチャンスはあるな!」
「宙…」
宙は私の頭にポンッと手を置くと、「よく決めたな」と言って褒めてくれた。
決めることが出来たのは宙のおかげだよ。
私1人だったら、このまま現実から逃げ続けていたはずだから。
「宙、ありがとう」
そして宙は顔を逸らして「おう」と答えた。