【完】僕と君のアイ言葉
宙と屋上で過ごした日からすでに数日が経っていた。
『田中くんと、別れる…』
そう言ったにも関わらず、未だ話を切り出せていない状態。
いや、違う。
切り出すも何も、最近田中くんに避けられている気がするんだ。
私はあの時ハッキリと決めた。
決心は鈍っていない。
なのに…
田中くんは私と2人きりで話そうとしないんだ。
さすがに人前で出来る話でもないため、クラスで話すわけにも行かない。
周りに人がいたら田中くんはいつも通り話しかけてくれるけれど…人がいないとこれっきり。
「また田中くんいないね」
愛奈には別れようと思うとだけ伝えていた。
その時〝どうして?〟と聞かれたが、〝色々とね〟と話を濁していた。
「そうだね…」
愛奈の〝また〟とはお昼休みのこと。
田中くんは決まってお昼休みになると教室から忽然と姿を消す。