【完】僕と君のアイ言葉


最初は屋上とか中庭とか、色々探して見たけれど…

田中くんの姿はどこにも無かったんだ。



「やっぱり避けられてるよね…」



いくら別れると決めていても、所詮私の好きな人だ。

避けられたら悲しくなる。



「…田中くんに放課後残ってもらうようラインでも手紙でも書いたら?」



「うん、そうしてみる」



〝今日の放課後教室にいて下さい〟



ただ一文打つだけで手が震えてくる。



もう、田中くんと一緒にお昼ご飯を食べたり、一緒に帰ったり、会話をすることはなくなるんだ…



そんなことを考えると、胸がギューッと締め付けられた。

固く目を瞑ってから送信ボタンをゆっくりと押した。



ブーブー──



田中くんからの返信はすぐに来た。



〝ごめん。今日用事ある〟



内容は断りを告げる短い文章。

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