【完】僕と君のアイ言葉
保健室までの道のりは涙を堪えるのに必死だった。
コンコン──
「失礼します」
扉をノックして開くと、ふわっと消毒の匂いが漂った。
「どうしたの?」
養護教諭の先生は優しく話しかけてくれた。
けれど今の私の視線は先生の後ろに向いてしまう。
「…よう」
窓際に涼し気にいるのは田中くんだったからだ。
「…うん」
田中くんから逃げるように来た保健室でばったり鉢合わせとか…
「…君、具合悪いの?」
久しぶりに話したような気がするのに、田中くんは普通に話しかけてくる。
「…うん」
「じゃあ、ベッドで少し休んで?」