【完】僕と君のアイ言葉
「ごめんね…」
「次からは気をつけてよ!」
愛奈はそう言うと、いつもの笑顔に戻っていた。
それから3人で他愛の無い話をしながら教室へと向かう。
愛奈には田中くんと別れた事は話したため、教室の前に着くと心配した表情でこちらを見ていた。
「…大丈夫だよ」
自分に言い聞かせるように呟く。
大丈夫だよ。
ただの……クラスメイトなんだから。
私達は何も始まっていなかったんだ。
失うものはなにも…無い。
ガラガラ──
ゆっくりと教室のドアを開けると、真っ先に視界に田中くんの姿が入った。
いつもは遅刻してくるのに、今日に限って早い。
私は重たい足を動かし、ゆっくりと彼の隣の席へと向かう。
こういう時の隣の席というのは辛い。
「おはよ」
えっ?
席に着くと確かにそんな言葉が聞こえてきた。