【完】僕と君のアイ言葉
キーンコーン──
そんなことをしていると、あっという間に授業が終わってしまった。
「教科書ありがとう」
「う、うん」
田中くんが何を後悔して、何を頑張るのかは分からないけれど。
今の彼は前より感情を言葉にしているように感じた。
だからきっと、彼にとってプラスになっているんだ。
机を元の位置に戻すと、彼はフラフラとどこかへ行ってしまった。
「彩!彩!ちょっと!」
それを見計らったかのように愛奈が飛んで来た。
「どうゆうことなの!?」
別れたのに、普通に、いや、以前より親しげにしていたのが気になるのだろう。
「よく分かんないけど…何も無いよ?」
「そ、そっかぁ…」
どこか腑に落ちない様子。
「彩ー!」
そんな時、ドアの方から名前を呼ぶ声がした。
見てみるとそこには宙がいて、手招きをしている。