【完】僕と君のアイ言葉


そんな宙に連れて来られた場所は屋上だった。



「彩、どうしたの?」



宙は優しく私に問いかけた。



どうしてそんなに優しいの…



いつまでも優しい宙に申し訳なくて、持っている教科書を強く握った。



「…それ…」



私の握っている教科書を見て宙は全てを悟ったようだった。



「ごめんねっ……」



ポンポン──



宙は私を落ち着かせるように頭を撫でた。



「俺、カッコ悪いよね」



そんな言葉に頭を振った。



宙はカッコ悪くない。

むしろカッコイイよ。



「彩の前ではカッコつけといて…心は超狭い、ダメな男だよな。ハハッ…」



宙…

< 172 / 258 >

この作品をシェア

pagetop