【完】僕と君のアイ言葉


その後、彩にあの言葉の意味を聞いた。

それで全てが繋がったんだ。



あのラクガキは、アイツ…田中とのだって。



俺はそれを返すことなく持ち帰った。

いや、正確には返せなかったんだ。

もし返したら、彩がアイツのところに行ってしまいそうな気がしたから。



その日、家に帰ると俺はそのラクガキを消した──



そして次の日、俺の行動に気がついた彩が授業中教室に泣きそうな顔で乗り込んできたんだ。



初めは訳が分からなかったけれど、握っていた教科書が全てを教えてくれた。

彩を笑顔にしたいと思ったのに、泣かせるとか本当にダサい。

そんな彼女に1つだけワガママを言った…



『……俺、彩の1番になりたい…』



田中よりも俺を好きになって欲しい。



この言葉に隠された想いは、寂しいものだ。

その意味に気づいている彩はなんとも言えない表情を見せていた。



こんなワガママでさえ、彼女を困らせる。



だから、〝いつかね〟と付け加えた。

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