【完】僕と君のアイ言葉


プルル──



するとタイミングよく電話が掛かってきた。

表示を見ると、そこには宙の名前。



「もしもし。どうしたの?」



宙がわざわざ私に電話を掛けてくるなんて珍しい。



『ちょっと、声聞きたくて…』



チクンッ──



彼のこの言葉を聞いて少し胸が傷んだ。



「そ、そうだったんだ」



つい言葉がぎこちなくなってしまう…



『彩、なにしてたの?』



「えっ…」



なにって…

遠足の買い物をして…

田中くんと会って…

田中くんの家にお邪魔して…



『彩?』



「遠足のね、買い物してたよ…」



『そっか。その後は真っ直ぐ帰ったの?』



真っ直ぐ…



「…うん。今帰り道だよ」



私は1つ嘘をついた。



『…気を付けて帰ろよ。じゃあ、明日ね』



「うん、ありがとう。明日ね」



そう言って電話を切った。

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