【完】僕と君のアイ言葉
嘘…ついたんだ私。
「彩?」
「えっ?」
突然名前を呼ばれ、ただただ宙を見つめる。
「具合悪い?」
「悪くないよ?」
「なら良いけど」
宙はどことなく寂しく見えた。
私からしたら宙の体調のほうが心配だよ…
「邪魔して悪いんだけどさ、僕そこ通りたいんだよね」
そんな私達の後ろから声がして振り返ると、昨日私が買った材料を両手に持った田中くんがいた。
「あっ、ごめんね…」
…はっきり言って最悪なタイミングだ。
よりにもよって、田中くんと宙が朝から鉢合わせになるとか…
その時、
「あれ、田中が荷物持ってきたの?」
と言う三好くんの声が耳に飛び込んできた。