【完】僕と君のアイ言葉


私に聞こえたぐらいだ。

隣にいる宙には絶対に聞こえている。



「宙…」



宙、怒るかな。

傷つけたよねきっと…



「ごめ「田中が荷物持ってくれて良かったね」」



〝ごめんね〟と言おうとした言葉を遮って、宙は笑顔でそう言った。

その笑顔は、怒っているようにも見えなくて、いつも通りの笑顔。



そんな宙が逆に不思議で、頷くことしか出来ない。



「じゃあ、もうそろそろ集合時間だしクラス戻るね」



「あっ…うん」



そしてあっと言う間に行ってしまった。



…宙。



「君、宙くんと喧嘩でもしてるの?」



喧嘩…なら良かったのかな。



喧嘩じゃないだけあって、解決するのが難しい。

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