【完】僕と君のアイ言葉
「ねぇ」
そんな私達に声を掛けてきた人がいた。
振り向かなくても、声だけで、声の掛け方で誰か分かってしまう。
悔しいけれど、まだこの気持ちを忘れられていないんだ。
「なに?」
自分の気持ちを隠すようにわざと冷たくあしらう。
「僕と夏祭り行こうよ」
「…行かない」
田中くんと行くわけないじゃん。
すぐ昔のことなんて忘れちゃうような人。
今の私には、宙がいる。
「じゃあ、僕の目を見て断ってよ」
なにそれ?