【完】僕と君のアイ言葉


それから田中くんは何も聞かなかった。

隣の席だから少し話すことはあっても、泣いていた理由に関しては触れない。



まぁ、聞かれても私自身が分かってないから答えようがないんだけども…

それでもその優しさは嬉しかった。



「それじゃあ、少し早いが授業は終わり」



教科担任の先生がそう言ったため、いつもより早くお昼休みに入った。



「彩。ご飯食べよ?」



愛奈はさっそく私の席に来ていた。

きっとそれだけ私のことを心配してるんだと思う…



「うん」



私は頷くと愛奈と一緒に教室を出た。

教室を出るとき、田中くんからの視線を感じたがあえて振り返ることはしなかった。

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