【完】僕と君のアイ言葉
「…毎日学校で会うでしょ」
けれど先生は1つ呼吸を置くと、田中くんの質問をいとも簡単にくぐり抜けた。
「…そう…だよな…何聞いてるんだか…ははっ」
先生からの返事を聞いた田中くんの口調は静かで低くて、落ち込んでいるのがすごく分かる。
そして、田中くんの質問の意図を私だけじゃなく、先生も気づいていることも分かってる。
そのことをまた、田中くんも気づいていて何も言わないことにも分かってる。
どうして言葉1つでここまで人を苦しめられるんだろう。
どうして、こんなにも全てが上手くいかないんだろう。
なのに私は気づいてしまったんだ──
「それじゃあね、吉田先生」
「えぇ、じゃあね、田中くん」