隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
◇アイツはウソ彼氏
***
「はい、始めっ!」
白雪姫の台本ができたらしく、早速劇の稽古が始まった。
「鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだあれ?」
す、すごい……!
お妃役の女の子の迫真の演技に圧倒されてしまう。
身振り手振りをつけながら、黒板を鏡に見立てて役を演じている。
なんでも、この子は中学生の頃演劇部に入っていたらしく、演技がとても上手い。
お妃の独特な恐怖感が滲み出ている。
「白雪姫!?私より美しい人なんていてたまるもんですか!猟師!」
お妃役の子から、私の役である白雪姫が出てきてドキッとする。
私の出番はもうすぐだ。
「はい、お妃様」
「白雪姫を森にでも連れて行って、殺してしまいなさい!」
「ですが…」
「つべこべ言わずに連れて行きなさい!」
ここで場面転換。
猟師役の男の子は演劇なんて初めてのはずなのに、すごく役に入り込んでいた。
初の読み合わせでここまでできるものなの?