隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
宙はそれだけを言い残して、自分の家へ入っていった。
「……変なやつ」
つくづく思う。
嫌がらせばかりするくせに、変なところで優しいっていうか……
あーダメ!
私、怒ってるんだから。
私の大好きな唐揚げを……!
唐揚げ如きでくだらないなんて思うかもしれないけど、私にとっては大問題。
「ただいま、お母さん」
「あら、お帰り茉奈」
私が家に帰ると、なるべく玄関にまで出て出迎えてくれる。
一時期その行動がうざいなんて言って反抗期だった頃もあるけど、ここまでしてくれるお母さんはいいお母さんだななんて今なら思ってる。
「茉奈、ちょっと不機嫌じゃない?」
「え、あー」
そんなに顔に出てたかな……
「もう、バレバレよ。何かあった?」