隣のアイツは、溺愛俺様ウソ彼氏。
───すみれが、危ない。
「た、たっくん!すみれはどこ!?すみれが危ない!」
鈍感なあの子のことだから……
簡単に引っかかってしまうかもしれない。
私が焦ったように訴えると、クスッとたっくんに笑われた。
「えっ?」
「大丈夫だよ。なんかあったら電話するように言ってあるし、今宙と合流したみたいだしね?」
もうすぐ宙が来るよ と伝えてくれた。
「宙、が…?」
なんで宙が…。
「いやあ、びっくりしたよ。突然焦った声で電話してくるんだから」
クスクスと笑いながらたっくんが話し始めた。
私が勝手にその場を立ち去った後…
宙がたっくんに電話をかけたらしい。
〝茉奈がいねぇ。さらわれたかもしんねぇ…!〟と。
それにはちょっと笑ってしまった。